【2020年最新】感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率について数式を使わずわかりやすくまとめてみた【直感的に理解しよう】




はじめに

この記事は、医学生や獣医学部生でも、
感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率をわかりやすく勉強できるように作ってみました。


医療系や科学系の記事でたまに感度や特異度などが出てきますよね?
また、大学の授業でそれに加えて陽性的中率や陰性的中率を習った方もいると思います。

なんとなく理解している人も多いでしょうが、じゃあ
「感度って何?」「特異度って何?」「特異度と陽性的中率って何が違うの?」って聞かれたときに、上手く説明できる人は多くはないのではないでしょうか?

この記事では、感度・特異度・陽性的中率・陰性的中率について、なるべく数式を使わずに、直感的に理解できるよう工夫して説明いたします。

数式で覚えると応用がききませんので、それぞれの用語の意味を理解することで、いつでも自分で計算できるようにしておくことをおすすめします。


*2020年に新型コロナウイルスのPCR検査が話題になり、その陽性的中率について医師が間違ったツイートをした事例がありました。簡単に計算できる方法をコチラにまとめてあります
医師のツイートで新型コロナウイルスのPCR検査の陽性的中率の話が出たが間違っていた件
https://kourogi565656.blogspot.com/2020/03/pcr.html

感度


感度とは、検査における場合、病気の人がその検査を受けた場合に、検査「陽性」となる確率です。
例えば、感度が80%の検査では、病気の人の内、80%の人(5人の内4人)が「陽性」となります。
一方で20%の人(5人に1人)は、病気なのにも関わらず、検査「陰性」となってしまいます(本当は病気なのに検査で「陰性」となることを「偽陰性」と言います)。

イラストで説明してみました。縦軸が検査の値、左が病気の人、右が正常な人です。
病気を診断するための検査ですので、病気の人ほど検査値は高くなるとします。
横に走ってる緑の線はカットオフ値です。
緑の線より高い検査値が得られた場合「陽性」と判定され
緑の線より低い検査値が得られた場合「陰性」と判定されます。


図1

このグラフでは5人の病気の人の内4人が検査「陽性」と判定されていますので
感度は4/5で80%となります。(偽陰性率は20%です)


ここで、仮に左の病気の人の検査値が全体的に低かったとしましょう。
すると感度は低くなり(40%)、偽陰性率が増える(60%)ことがわかると思います。
図2


陽性的中率と陰性的中率も変化しますが、それについては後述します。
2つのイラストを見比べたら一目瞭然ですが、
感度が低い検査=偽陰性が多い=見逃しが増えることがわかるかと思います。


以上から
感度が高い検査=病人が検査「陽性」となる可能性が高い
感度が高い検査=偽陰性が少ない=見逃すことが少ない
感度が高い検査で「陰性」=その疾患に罹患している可能性は低い
ということが言えます。
感度が高い検査は(見逃しが少ないので)スクリーニング検査に有用であることがわかるかと思います。
*ただし、感度が高くても、有病率(集団の中で病気の人がどれくらいの割合でいるか)が高い場合は、偽陰性率が同じであっても、見逃す数は増えていきます。詳しくは陰性的中率のところで述べますが、上のイラストを用いて、有病率が高くなった場合(赤丸が増えた場合)どうなるかを考えてみてください。偽陰性率が同じであっても、見逃す数が増えるのがわかるかと思います。



特異度

特異度とは、健康な人(正常な人)が、その検査を受けた場合に、検査「陰性」となる確率です。例えば特異度が80%の検査では、正常な人のの内、80%の人(5人の内4人)が「陰性」となります。
一方で20%の人(5人に1人)は、健康なのにも関わらず、検査「陽性」となってしまいます(本当は健康なのに検査で「陽性=病気だよ☆」となることを「偽陽性」と言います)。


図3
このグラフでは5人の健康な人の内4人が検査「陰性」と判定されていますので
特異度は4/5で80%となります。(偽陽性率は20%です)

ここで、仮に右の正常な人の値が全体的に高かったとしましょう。
すると特異度は低くなり(40%)、偽陽性率が増加(60%)します。

図4

この場合も、陽性的中率、陰性的中率が変化しますが、とりあえず無視します。
2つのイラストを見比べると
特異度が低くなる=偽陽性が多い=正常なのに病気だと判定される確率が増える
ことがわかると思います。

以上から
特異度が高い検査=健康な人の大部分が検査「陰性」つまり異常なしと判定される
特異度が高い検査=疑陽性が少ない=間違って陽性と判定されずらい
特異度が高い検査で陽性=病気である確率が高い
ということが言えます。
よって、特異度が高い検査は確定診断に有用です。
*ただし、特異度が高い検査であっても、有病率が低いと、偽陽性率が同じであっても、正常なのに「陽性」となる数が増えます。これは陽性的中率の所で述べます。
ここでは理解する必要はないです。とりあえず、上のイラストで青丸を増やしてみてください。偽陽性率が同じであっても、まちがって陽性と判定される数が増えることがわかると思います。



陽性的中率

陽性的中率とは、検査「陽性」と判定された人が、本当に病気である確率です。

例えば陽性的中率が80%であった場合、検査が陽性と判定された人の内80%が本当に病人です。残りの20%は健康な人です。

図5

感度と何が違うの?と混乱する方が多いと思います。
下のイラストで今一度、感度の定義の復習を兼ねて比較してみましょう。

図6



こうすればわかりやすいですね。そう、分母(黄色の線で囲ったところ)が違うのです。
感度の分母は、病気の人全体で
陽性的中率の分母は、検査陽性の人全体です。
分子(水色で囲ったところ)は表現は違いますが、同じですね。


ではこの陽性的中率は何の影響を受けるのか考えてみましょう。


イラストはもう提示しませんが、上のイラストから簡単に想像できますし、簡単に自分で紙に書いてみてもわかりやすいかと思います。

・感度が上のイラストより低くなる時
分子の数が減るので、陽性的中率は低くなりますよね?図1と2を比較してみてください
・感度が上のイラストより高くなる時
陽性的中率は高くなります。
・特異度が上のイラストより低くなる時
今度は分母の数が増えるので、陽性的中率は低くなります。図3と4を比較してみてください
・特異度が上のイラストより高くなる時
陽性的中率は高くなります。

ここまでは、上のイラストから簡単に想像ができますね。
ではここで、有病率を変化させてみましょう。
ただし、感度・特異度は同じままとします。



図7

左が有病率50%で右が有病率20%のグラフです。
感度(80%)、特異度(80%)に変化はありません。
感度、特異度に変化がないので、当然偽陰性率(20%)および偽陽性率(20%)にも変化はありません。
*偽陰性率=1-感度、偽陽性率=1-特異度

ですが、陽性的中率は変化しています
有病率50%では、この感度・特異度の場合、陽性的中率が80%
有病率20%では、この感度・特異度の場合、陽性的中率が50%
とかなり低くなってしまいます。

このことから、陽性的中率(陰性的中率も)は、感度および特異度が変化した時だけではなく、有病率によってもその確率が変化します
これは臨床的にとても大事なことですね。

感度・特異度というのはその検査系で固定された値です。

例えば、インフルエンザの迅速診断キットは
特異度98.2%、感度62.3%とされています。

*余談になりますが、つまりインフルエンザの迅速診断は感度が低い=見逃しが多い=検査が陰性であっても、インフルエンザを否定できないということが、今までの記事を理解していれば、容易にわかるかと思います。


この感度・特異度は不変的なものとします。
*正確には、発症からの時間によって変わるようです。

ではここで、有病率を考えてみましょう。

インフルエンザのシーズン(流行期)では、病院に来る人の内、インフルエンザにかかっている人の割合は、多くなります。=有病率が高い(図7左の状態)

一方で、インフルエンザが流行っていない時期では、病院に来る人の内、インフルエンザにかかっている人の割合は少なくなってしまいます。=有病率が低い(図7右の状態)

ですので、インフルエンザのシーズンに、この迅速診断キットを用いた場合、
陽性的中率はとても高いのですが、
シーズン外にキットを用いると、陽性的中率が、シーズン中より低くなることがわかるかと思います。

よって、インフルエンザのシーズン中に、このキットで「陽性」と判定されたら、高確率で本当にインフルエンザですが(図7左)、シーズン外で「陽性」と判定されても、本当にインフルエンザである確率は、シーズン中よりも低くなってしまいます(図7右の場合)。

なんとなく、わかっていただけたでしょうか?

有病率が低下すると、偽陽性率が変わらなくても、検査陽性の中に健康な人がいる割合(1-陽性的中率)が増えてしまうという所が、なかなか納得しずらいとは思いますが
分母が何なのかを思い返してみると、少しスッキリするのではないでしょうか?

図8

図9



陰性的中率

陽性的中率とは、検査「陰性」と判定された人が、本当に正常である確率です。

例えば陰性的中率が80%であった場合、検査が陰性と判定された人の内80%が本当に正常です。残りの20%は病人です。


図10
特異度と何が違うの?かは、もう説明不要かもしれませんが、直感的に理解できるよう、下のイラストを見てみましょう。
図11
感度と陽性的中率と同じような関係ですね。
分母(黄色の線で囲ったところ)が違います
特異度の分母は、正常な人全体で
陰性的中率の分母は、検査陰性の人全体です。
分子(水色で囲ったところ)は表現は違いますが、同じですね。



陰性的中率については、陽性的中率を理解していれば、詳しく解説する必要が無いと思いますので、簡単にとどめておきます。


まとめ

・感度とは
病気の人が、検査で病気だよと判定される確率
・特異度とは
健康な人(正常な人)が、検査で正常だよと判定される確率
・陽性的中率とは
検査「陽性」と判定された人が、本当に病気である確率
感度と特異度が一定であっても有病率の変化に応じて、陽性的中率も変化する
・陰性的中率とは
検査「陰性」と判定された人が、本当に正常である確率
感度・特異度(偽陽性、偽陰性)と陽性的中率、陰性的中率は分母が違うことに気を付けよう

図12



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