出生前診断
出生前診断には広義の意味と狭義の意味があります。広義の出生前診断
妊娠中に赤ちゃん(胎児)の診断を目的として行う検査全般のことを言います。たとえば超音波検査や胎児心音測定なども広義の出生前診断に含まれます。これらの検査の目的は、妊娠の有無の判断や、生存しているか、胎児の位置や胎児環境(胎盤剥離などがないか)の確認、胎児奇形が無いかなど多岐にわたります。
狭義の出生前診断
出生前に胎児の遺伝子に異常がないか診断を行う遺伝学的検査のことです。おそらく、皆さんがイメージする出生前診断はこちらの狭義の意味になります。遺伝学的検査には非確定検査と確定検査があります。
非確定検査
非確定検査は流産・死産のリスクはありませんが、検査結果が陽性の場合、診断を確定させるために確定検査を受ける必要があります。母体血清マーカー検査
胎児や胎盤由来のタンパク質は、お母さんの血中にも流入します。母体血清マーカー検査では、お母さんから血液を採取し、その血液中に含まれる胎児や胎盤由来のタンパク質の量(血中濃度)を測定します。
この方法によってダウン症候群(21トリソミー)とエドワーズ症候群(18トリソミー)、そして開放性二分脊椎症の可能性を調べることができます。
ダウン症の場合、検査の感度は80%です。
主に妊娠15~18週で検査を行います。結果が出るまでに2週間程度かかります。
妊娠初期コンバインド検査
コンバインド検査は、超音波検査と血液検査を組み合わせた(コンバインド)検査です。2つの検査を組み合わせることで、診断精度をあげることができます。ダウン症候群(21トリソミー)とエドワーズ症候群(18トリソミー)が対象です。
ダウン症の場合、検査の感度は83%です。
主に妊娠11~13週で検査を行います。結果が出るまでに2週間程度かかります。
新型出生前診断(NIPT)
無侵襲的出生前遺伝学的検査(NonInvasive Prenatal Genetic Testing)または母体血胎児染色体検査とも呼ばれる。確定検査ではないものの、非常に高い精度で検査が可能であり、しかも非侵襲的であることが利点です。母親の血液を用いて検査をしますので、確定検査とは異なり、流産の心配がありません。また従来の母体血清マーカー検査よりも、診断制度が優れているというのも利点です。
ダウン症候群(21トリソミー)とエドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)が対象です。
ダウン症の場合、検査の感度は99%です。
主に妊娠10週以降に検査を行います。結果が出るまでに1~2週間程度かかります。
NIPTに関しては、別記事で詳しく述べます。
確定検査
確定検査は、侵襲的な検査になるため、非常に低い確率ではあるものの、流産・死産のリスクがあります。検査の感度は99.9%です。絨毛検査
主に妊娠11~14に行います。お母さんのおなかに針をさして、絨毛細胞を採取し、検査を行います。
染色体疾患全般を調べることができます。
結果が出るまでに2~3週程度かかります。
羊水検査
主に15~16週で行います。お母さんのおなかに針をさして、羊水を採取し、その中の胎児由来の細胞を検査します。
染色体疾患全般を調べることができます。
結果が出るまでに2~3週程度かかります。
感度について
感度とは、病気の人を正しく陽性として検出できる確率のことを言います。感度が高いということは、見逃し(病気なのに、検査が陰性となってしまうこと)が少ないということも言えます。
感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率などの詳しい説明は別記事を参照してください。
*本記事はGENETECH社のHPを参考にまとめました。
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